
ピアノの森
完結ピアノの森
森の中に、一台の捨てられたピアノが眠っている。近くを通れば、誰かが奏でる音が聞こえてくる。鍵盤に向かうのは一ノ瀬海。幼い頃からそのピアノを一番の遊び道具のように弾いて育った少年だ。母親と暮らし、できる仕事をしながら、楽譜も読めない。それでも彼にとってピアノは、心の拠り所であり、自分を表現する手段だった。
彼の人生は、東京から転校してきた天才少年ピアニスト、雨宮修平との出会いによって動き出す。由緒ある音楽家一族に生まれた修平は、その重圧を背負っていた。二人のそばには、かつて輝かしいピアニストでありながら、事故によって演奏家としての道を断たれた音楽教師、阿字野壮介がいる。
海と修平の間には、互いを高め合うライバル関係が芽生えていく。森のピアノは、再び誰かに奏でられる日を静かに待ち続けている。
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