
ねじ式・紅い花
完結ねじ式・紅い花
青年が目を覚ますと、そこは夢のように不穏な風景の中だった。腕には包帯が巻かれ、心当たりのない傷がある。川で洗濯をする女、桟橋で釣りをする老人など、奇妙な人々との出会いを重ねながら海辺の町を彷徨うが、誰も明確な答えを与えてはくれない。現実は歪み、主人公は断片的な映像の奔流に呑み込まれていく。まるで自分の記憶そのものが壊れてしまったかのように。
もう一つの物語では、男が身内の通夜に参列するため故郷の村へ戻る。そこで幼い日の記憶が甦るとともに、集まった人々の間に潜む緊張が表面化していく。夜が更けるにつれ、葬送の儀式は遺恨や秘密、そして時間が生者たちの間に刻んだ埋めがたい距離をあぶり出す舞台と化していく。
これらの作品は、1966年から1970年にかけて雑誌『ガロ』に発表された。日常的な状況が surreal な領域へと滑り落ちていく過程を通して、人間の精神の脆さを描き出す。つげ義春は、現実と幻想が混ざり合い、登場人物たちが崩れゆく世界の中で意味を探し求める、息の詰まるような雰囲気を紡ぎ出す。
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