
紙の砦
完結紙の砦
第二次世界大戦末期、若き手塚治虫は級友たちとともに大阪の工廠へ動員される。作業を怠けて漫画を描いていたことを咎められ、罰として敵爆撃機を監視する物見塔に登らされる。ある空襲のさなか、彼の数メートル先に爆弾が落下。炎と焼け焦げた遺体が散乱する混沌のなか、奇跡的に生還する。
自伝的要素の強い七編からなる本短編集は、手塚の中学時代から、飢えに耐えながら漫画の世界で道を切り開こうともがく学生時代まで、その初期の人生における重要な瞬間を収録している。自分の情熱を理解してくれる少女との出会いや、新聞社での初仕事といったエピソードを通して、漫画や男女の交際、ダンスさえも禁じられた社会の困難が描かれる。それでも手塚は、漫画家になるという夢を決して手放さなかった。
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