深谷陽が93歳の父を描く漫画の単行本を刊行
KADOKAWAが『父と暮らす 90歳の父とはじめるふたり暮らし』を発売。作者が2024年からXで公開している連載のまとめ。
漫画家の 深谷陽 (59歳)は石川県生まれ、福島県在住。本日、初の単行本を刊行する。タイトルは 『父と暮らす 90歳の父とはじめるふたり暮らし』 で、KADOKAWAから1,650円で発売される。
本書は深谷が2024年からX(旧Twitter)で公開している連載をまとめたものだ。93歳の父・巌との日常が描かれている。「読んでくださった方が少しだけ力が抜けて、ほっと息をついてくれたらうれしい」と作者は語る。
2023年に始まった同居
父子は2023年から一緒に暮らしている。母の死後、深谷は東京を離れ、一人残された父の世話をするため福島に戻った。病院や散歩に付き添い、食事も用意している。
「いちばん身近な題材を描こう」と決めた。巌の日々や二人の会話を描き始め、SNSで公開。昨年6月からは 民友新聞 が県内の読者向けに構成した版を連載している。
漫画には、父の言葉や仕草など、作者が気づいたことが描かれる。同居生活の気まずい瞬間も含まれる。「描くことで整理されて、おかしなことや愛おしいことに変わる」と説明する。何より自分のために描いている作品だ。
120話と新規描き下ろしを収録
単行本にはXで公開した約120回分と、やや長めの新規エピソードが数本収録される。SNSでは、親と同居している人や、すでに親を見送った人からメッセージが寄せられてきた。
反響が大きかった回の一つが、福島市内の餃子店を訪れた話だ。少食の巌がおいしそうに食べた。父の健康は気がかりだが、話はいつも安心できる結末、その日を救ってくれる何かで終わる。
「父に、一緒に読めるだけの体力と集中力があるうちに本にしたかった。ほっとしています」と深谷は単行本の刊行について話す。
今の巌の暮らし
巌は笑いながら「少し恥ずかしい」と認める。その上で「思うように動けなくなった年寄りの漫画にも、社会的な価値はあると思う」と付け加える。今は猫のスバルと遊んだり、スマートフォンで囲碁をしたりして過ごす。息子が押す車椅子での近所の散歩も楽しみにしている。
深谷はすでにこの先の描き方を考えている。「この空気感のまま、暗くならずに描けるだろうか」と打ち明ける。さらに踏み込む。「一緒に暮らし始めてから、共有する思い出は増え続けている。でも、いつか父がいなくなって、その思い出が自分だけのものになる日を思うと怖くなる」。
「何もできなくても、話せなくなっても、ここにいてくれるだけでいいと思う瞬間がある。父も母の最晩年に同じことを言っていた。この先どう感じるかはわからないけれど、感じたことを感じたまま描いていきたい」。
単行本は本日、日本で発売される。父を介護する息子の身近な視点から描かれたこうした物語は気になるだろうか。コメントで教えてほしい。
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