Inamura no Hi
完結1854年、南海沖を震源とする大地震が沿岸部を襲い、直後に大津波が押し寄せようとしていた。海辺の村では、異変に気づきながらも「自分たちは大丈夫だ」と高をくくる者や、家財や仕事への執着から動こうとしない者が後を絶たず、誰ひとり高台へ避難しようとしない。刻一刻と危険が迫る中、村の指導者のひとりは、このままでは全滅すると悟る。
彼はあえて自分の田から刈り取った稲を積み上げた稲むらに火を放つ。燃え上がる炎と煙を見た村人たちは、消火のために我を忘れて駆け出し、結果として高台へと誘導されていく。直後、巨大な津波が村を呑み込み、家々は跡形もなく流された。しかし、その機転と犠牲によって、村人全員が九死に一生を得る。