
回螺
完結回螺
『回螺』は、記憶と意識の境界を探る一話完結の短編集である。どの物語も、夢幻的な状況や荒涼とした風景の中に囚われた人物たちを描き、現実の感覚が徐々に失われていく様を映し出す。
表題作では、見知らぬ空虚な世界で目覚めた少女が、自分と瓜二つの存在と二人きりでいる。328と329と名付けられた彼女たちは、流れる水だけがある食物のない現実に直面する。脱出の可能性を約束するが一人しか乗れない筏の出現が、飢えと逃亡願望、不気味な環境音に煽られ、二人の間に張り詰めた緊張を生み出していく。
その他の収録作『古町』『呪層』『廃棄』もまた、このテーマをさらに掘り下げ、登場人物たちを異様な環境と心理的に抑圧的な状況へと沈め、自我と記憶の本質を問いかける。
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1996
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