
ゲンセンカン主人
完結ゲンセンカン主人
つげ義春の短編十二編を収めた作品集。1965年から1970年にかけて雑誌『ガロ』に発表された。「ねじ式」「さんしょううお」「ゲンセンカン主人」など、本書の表題作を含む代表的な作品が並ぶ。
旅人、宿の主人、漁師、通りすがりの者——主人公たちは、現実と悪夢の境界が溶けていくような出来事に直面する。表題作「ゲンセンカン主人」では、田舎で宿を営む男が、不気味な客や幻影に悩まされる。「山椒魚」では、一匹の両生類への執着が妄想の渦を巻き起こす。
乾いた筆致と断片的な語りによって、不条理な日常に囚われた人物の心理が浮き彫りにされる。戦後日本の風景を背景に、見慣れた日常のすぐ隣に潜む異様さが、一篇ごとに静かに立ち現れる。
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