天国でみる夢
完結天国でみる夢
青年が目を覚ますと、そこは天と地がひとつの平面に溶け合う夢幻の風景だった。周囲には幻想的な生き物や幾何学的な形が無重力の空間に浮かび、地平線は前触れもなく色を変えていく。現実の物理法則は意味を失い、遠近感も時間の流れもあいまいなまま、景色は絶えず移ろい続ける。
明確な筋書きはなく、本作は夢の視覚的な自由を探求する一連のコマとして展開される。主人公は不可能な情景の間を進み、ページをめくるごとに現実の論理を覆す新たな絵画的構図が立ち現れる。そこには説明も台詞もほとんどなく、ただ描かれた世界そのものが読者を包み込む。
佐々木マキによるこの短編は、物語よりもイメージの連なりを重視した実験的な作品であり、夢の中を漂うような感覚をそのまま紙の上に定着させようと試みている。