
窓の手
完結窓の手
孤独な男が、自宅アパートの窓に「入りたがっているように見える手」を見つける。その存在に興味を抱き、同時に不気味さを覚えた男は、行動に移すこともできず、ただじっと手を観察し始める。手はそこに静止したままで、その無言の存在が主人公の日常を一変させ、彼は不穏な魅力に引きずり込まれていく。
全一話の物語は、窓枠にしがみつくその手の正体や目的を男が探ろうとする中で、好奇心と恐怖の間の緊張を描き出す。謎と孤独に満ちた雰囲気が、手との対峙のひとつひとつを包み込み、読者はガラスの向こう側に本当は何があるのかを問いかけられる。
1980年に発表された本作は、日常が繊細かつ不穏な異化に浸されていく、つげ義春の初期の作風を示す一編である。安易な答えを与えない語りは、孤立と未知なるものへの認識をめぐる省察へと変わっていく。
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1998