
春の呪い
完結春の呪い
夏美は、わずか十九歳で亡くなった妹・春を失ったばかりだった。その死が残した空白を埋められずにいた彼女は、春の婚約者だった桐谷から思いがけない提案を受ける。自分と付き合ってほしいというのだ。夏美がただひとつだけ出した条件は、妹と訪れた場所にだけ連れて行ってほしいということだった。
季節が移ろうなか、夏美と桐谷は春の記憶が宿る場所をともに巡っていく。罪悪感と悲しみは、同じ喪失に結ばれた二人の間に生まれていく親密さと入り混じり、春の影が呪いのように二人の間に立ちはだかる。
過去を手放せない二人は、もういない人を裏切ることなく未来を築くことができるのか、その答えを出さなければならなくなる。