
一輪花
完結一輪花
灰色で単調な街で、孤独な少女がアスファルトの隙間から芽吹いた奇妙な芽を見つける。その小さな花に心を奪われた彼女は、誰にも内緒で世話をすることにした。毎日水をやり、風から守り続けるうちに、芽は壁を這う蔓へと成長し、街の景色を色鮮やかに染めていく。
しかし、その花が変えたのは周囲の風景だけではなかった。少女の心にも、忘れていた感情が静かに目を覚ましていく。近所に住む少年が彼女に気づいたことをきっかけに、二人は知ることになる。愛もまた、あの植物と同じように、時間と忍耐、そしてほんの少しの光を必要とするのだと。