
うちの師匠はしっぽがない
完結うちの師匠はしっぽがない
まめだは、大正時代を生きる若いたぬきである。近代的な技術が発展したこの時代、彼女のような不思議な存在が、人間を相手に昔ながらのいたずらを仕掛けることは、ほとんど不可能になっていた。自らの宿命を果たし、父の背中を追うことを心に決めたまめだは大阪へと赴くが、人を化かそうとする試みはことごとく失敗に終わる。
そんな彼女の運命は、怒った群衆から逃げる途中で一つの劇場に逃げ込み、大黒亭文狐による落語の高座を目にしたことで一変する。語りによって観客を魅了するその力に心を奪われたまめだは、この芸能の中にこそ、人間を欺くための最後の手段があると見出し、厳格で乗り気でない文狐のもとへ弟子入りを志願する。
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