
父さんの汽笛
完結父さんの汽笛
作曲家であり歌手でもある坂井裕は、実家の片付けをしている最中に小学4年生の頃の日記を見つける。黄ばんだページをめくるうちに、漁師だった父と暮らした海辺の町での幼い日々がよみがえる。かつての少年にとって、夜明け前に海へ出る無口で無骨な父は、大きく恐ろしい存在だった。父の力強い汽笛は、日々のリズムを刻んでいた。
大人になり実家を訪れるようになった坂井は、父を新たな視点で見つめるようになる。かつては大きく見えた背中は歳月とともに小さくなり、厳しさだと感じていた仕草の奥に、これまで気づけなかった疲れや愛情が見えてくる。本作は、時間の流れ、世代間の距離、そして親もまた人間であり、脆く愛情に満ちた存在だと気づく瞬間を描く。