
そらとぶくじら
完結そらとぶくじら
小さな男の子が、祖父と二人で海辺の小さな家に暮らしていた。穏やかな港町での毎晩、祖父は素敵な物語を聞かせてくれる。中でも少年の心を強く惹きつけたのは、空を泳ぐクジラの伝説だった。心が純粋で、本当に必要としている者にしか姿を見せないという、魔法のような生き物。少年は目を輝かせながら、雲の間を漂う大きなクジラの姿を想像して聞き入るのだった。
それ以来、少年は空飛ぶクジラのことが頭から離れない。毎日海岸に出ては空を見上げ、そのシルエットを探し続ける。村の大人たちは微笑ましく見守るが、中には「ただのお話だよ」と言う者もいる。それでも少年は祖父の言葉を信じ、クジラは必ずいると確信して探し続ける。波の音と風の音に包まれた穏やかな日々が流れる中、少年はいつか海と空のあいだに、憧れのクジラが現れることを待ち望んでいる。