新生・玉水物語
完結新生・玉水物語
王宮の近くにある花園の周辺に、一匹の若い狐が住んでいた。姫が毎日庭を訪れるたび、狐は物陰から彼女を見つめ、その気品と美しさに心を奪われていく。姫が花の香りをかがんで嗅いだり、陽の光の中で微笑んだりするたびに、狐の胸は高鳴り、やがて自分が姫に深く恋をしていることに気づく。
しかし、その恋はやがて深い苦しみの源となる。狐は自らの獣としての本性と、姫との間にある越えられない隔たりを痛感していた。人間ではない自分を憎み、姫に近づくことすらおこがましいと感じる。姫のそばにいたいという願いと、決して報われることのない現実との間で、狐は日ごとに苛まれ、手の届かない恋に焦がれながら絶望に沈んでいく。