
オトシモノ
完結オトシモノ
夕暮れの誰もいない街を、一人の若い女性が歩いている。背負ったリュックサックは、本来の重さ以上にのしかかっているように感じられた。道すがら、彼女は地面に落ちている落とし物を見つける。鍵、壊れた傘、忘れられた携帯電話。それらを手にするたび、他人の記憶の残響が彼女の中で目を覚ます。持ち主の感情が、物に宿っているかのように。
主人公は、失われたものと見つけられたものが交錯する内省的な旅へと沈んでいく。これらの落とし物を通して、彼女は決して自分のものではなかった人生の断片を追体験する。一方で、自分のリュックサックの重み、そしてその中身が、彼女をずっと避けてきた真実と向き合うよう促していく。夕暮れは長く伸び続け、無人の街は静かな別れの舞台へと変わっていく。