おこりじぞう
完結おこりじぞう
1945年8月6日、広島。運命の日を前に、6歳の少女ひろちゃんは、いつも優しい微笑みをたたえた地蔵菩薩の像のそばで無邪気に遊んでいた。世界が永遠に変わろうとしていることを知る由もなく、幼い日々を楽しんでいた。
原子爆弾が街に投下されると、ひろちゃんは熱線と放射線により重い火傷を負う。耐えがたい痛みと混乱の中、彼女は母親を求め、すすり泣きながら瓦礫の間をさまよう。焼けつくような喉の渇きを癒すため、水だけを求めて。周囲の景色は破壊と荒廃の地獄と化していた。
その惨状を静かに見つめていた地蔵像に奇跡が起きる。それまで微笑んでいたその顔は、深い怒りと悲しみの表情へと変わる。石の目からあふれ出した涙は、ひろちゃんの口元へと落ちていき、悲劇のさなかで彼女が必要としていた慰めと水を与えるのだった。