
Obake Entotsu no Uta
完結1945年、東京の下町。工場の煙突から立ちのぼる煙を、空に浮かぶお化けだと思い込み、子どもたちは無邪気に遊び回っていた。路地に響く笑い声は、戦時下の街に漂う張り詰めた空気とは裏腹に、あくまでも明るい。彼らにとって戦争はまだ遠い出来事であり、煙は恐怖ではなく、想像力をかき立てる遊びの対象でしかなかった。
しかし、その日常は突然断ち切られる。アメリカ軍の爆撃機が東京の空に現れ、それまでお化けに見えていた煙は、街を焼き尽くす破壊の前触れへと変わる。空襲警報が鳴り響き、遊びに夢中だった子どもたちも、否応なく戦争の現実へと引きずり込まれていく。
遊びの世界が崩れ去る中、彼らは初めて、自分たちの暮らす街が戦場であることを知る。煙の向こうに広がっていたはずの空は、もはや安心して見上げられる場所ではなくなっていた。