
まっ黒なおべんとう
完結まっ黒なおべんとう
1945年8月6日、広島市に原子爆弾が投下された。その朝、シゲルという名の若者は、建物疎開の作業に向かうため家を出た。母が心を込めて作った弁当を手にしていた。しかし、彼が帰宅することはなかった。
時が経ち、母は懸命の捜索の末、シゲルの遺骨を探し当てる。その傍らには、爆風と熱線で真っ黒に焦げ、原形をとどめないほどに炭化した弁当箱が残されていた。母はその弁当箱をそっと抱きしめ、息子の最期の朝に思いを馳せる。
この物語は、一つの弁当箱を通して、戦争が奪った日常と、決して消えることのない母の愛を静かに描き出す。