
かっぽ
完結かっぽ
水尻自子による実験的な短編アニメーション。画面を横切るのは脚と靴。カメラは女性の身体の断片に留まる。滑らかな表面を歩く足、優しく触れ合う手、かすかな呼吸に合わせて開きかける唇。完成された顔も明確な舞台もなく、ただ細部だけが丹念な観察へと誘う。
本作は台詞も従来の物語も持たない。その代わりに、歩く、伸びをする、触れるといった日常の動作が催眠的な質を帯びる夢幻的な雰囲気を築き上げる。時に増幅され、時に静寂へと沈む環境音がそれぞれの映像を包み込み、ストッキングの布地、ハイヒールの輝き、ふくらはぎの曲線など、見えるものの質感を際立たせる。
水尻は反復と断片化を用いて、抽象的かつ詩的な視点から官能性を探求する。各ショットは視覚的な構図として、細部に、最小の仕草に、儚いものの美しさに迷い込むよう誘う。