
Haru no Umi
完結瀬戸内海に着想を得た情景が、日本の伝統的な墨絵の技法で描かれる。映像は、1929年に日本の音楽家・宮城道雄が作曲した箏曲「春の海」のヴァイオリン編曲版の調べに合わせて展開していく。本作は、千年の歴史を持つ絵画的美学と日本の古典音楽を融合させ、静謐な観想の雰囲気を生み出している。
この作品は従来型の物語を語るのではなく、観る者を感覚的な旅へと誘う。流れるような筆致と墨の濃淡を通して、海風、波の揺らぎ、海岸の風景に移ろう光を喚起させる。ヴァイオリンの音色が静けさと永遠性の感覚を高め、観客を内省と自然美の空間へと運んでいく。
本短編は原曲へのオマージュであり、伝統と現代性を兼ね備えた新たな映像表現へと昇華させている。