Goi-sensei to Tarou
完結太郎は、五位先生からただ一人「さん」付けで呼ばれている生徒である。この特別扱いに太郎は強い違和感を抱いていた。クラスに自分と同じ名前の生徒はおらず、そのような区別をされる理由が思い当たらなかったからだ。日常の小さな違和感は、しかし太郎の心に長く引っかかり続け、先生の真意を測りかねていた。
冬休みに入り、五位先生が入院する。太郎は思い切って先生を見舞うことにした。病室で交わされる会話の中で、五位先生はこれまで口にしなかった本当の理由を静かに語り始める。それは、一見ささいな呼び方の奥に隠された、ある思いにまつわるものだった。