キャッツ・アイ・ラブ
完結キャッツ・アイ・ラブ
名前もなく、決まった住み処もない野良猫は、人間から時折もらえるミルクとクッキーに何よりの喜びを感じていた。しかし彼女の本当の執着は月だった。毎晩屋根の上から月を眺め、あれは巨大な金色のクッキーに違いない、この世で一番おいしい一口だと思い込んでいる。彼女のシンプルで孤独な暮らしは、その叶わぬ夢を中心に回っていた。路地や通りをさまよいながらも、いつも視線は空に向けられている。
ある日、抑えきれない欲望に駆られ、彼女は何としてでも月にたどり着こうと決意する。旅は夜の街を横切ることから始まり、野良犬や車、人間の無関心といった危険をかわしながら進んでいく。道中、彼女はその無謀な試みを諭す他の動物たちに出会うが、同時に、小さなものの中に隠れた美しさを語る年老いた賢い猫にも出会う。
彼女はやがて学んでいく。時として、私たちが最も欲するものは、思っているほど遠くにあるのではなく、見つめることを知る者の目の中にあるのだと。