
あみこみ
完結あみこみ
少女はクラスメイトの長い髪を三つ編みにしていく。指を動かすたび、二人の友情の記憶がよみがえる。ともに過ごした午後、ささやき交わした会話、特別な絆を紡いできた何気ない仕草の数々。絡め取る髪の一房ごとに、過去のひとときが浮かんでは消え、ぼやけた映像は消え去ることを拒むように残り続ける。
しかし記憶とは脆く、気まぐれなものだ。少女は自問する。あの瞬間は本当にあったのだろうか、それとも心が作り上げた偽りにすぎないのだろうか。笑い声も、まなざしも、沈黙も——現実だったのか、それとも時間とともに自分で築き上げてきたものなのか。三つ編みを続ける指先の向こうで、疑念は静かに膨らみ、現実は手の間を流れる髪と同じように、捕まえがたく儚いものへと変わっていく。
もし気に入ったら、こちらもどうぞ
この作品とジャンルを共有する作品。