赤い魚
完結赤い魚
雨の中、少年は一人、不機嫌な様子でバスを待っている。雨粒がアスファルトを打ち、水たまりには小さな波紋が広がる。ふと、水の中に何かが動く気配がした。水たまりを覗き込むと、一匹の赤い魚が円を描くように泳いでいる。周囲の灰色の世界など気にも留めない様子だ。少年はその光景に見入り、待つことも悪天候も忘れてしまう。
その驚きの瞬間が、少年の感じ方を変える。赤い魚は自ら光を放っているように見え、まるで自分だけが見ることのできる秘密のようだ。雨は降り続くが、少年はもう待ち遠しくはない。日常の中に魔法のようなものを見つけたのだ。
この物語は、ほんの小さな出来事が、灰色の時間を特別なものに変えることがあるのだと、言葉も説明もなしに描き出す。
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